転職エージェントの新たな展開
生産はEMSへアウトソーシングさせる一方、経営資源をより付加価値の高い機能や業務にシフトさせるということが、EMS活用の経営戦略である。
しかし、人の問題に関するかぎり、アウトソーシングされた業務に従事していた労働者が新たな業務へとシフトできるかというと、それは大変むずかしい課題といわざるをえない。
ベーコン&ブライトン論文の中でも、EMSによって顧客企業であるメーカーの雇用が減少した事例はいくつか報告されているが、その一方でEMSサイドである程度の雇用が生まれている可能性もある。
最近明らかになった日本の電機メーカーによるEMSへの工場売却についても、国内で雇用を維持する手段の一つとして位置付けられている。
IMF内部でも、この点について事例研究も含めてさらに詳細な調査を行なうことで合意している。
と同時に、EMSによる雇用喪失だけを懸念するのではなく、そうした影響を受ける労働者の職業訓練こそが重要だとの意見も提起されている。
EMSへの対応には各国事情による温度差もEMSによる雇用の喪失懸念という総論としての認識に、IMFに加盟する各国の労働組合に温度差はない。
しかし、国ごとの工業化やソフト化のすすみ具合のちがいなどを背景に、実際の対応や受け止め方に若干のちがいがみられる。
日本や欧米の労働組合は、途上国の生産'性や品質も向上してきていることを認めたうえで、賃金コストの差が国際的な競争力の優劣に直接的に影響してくるのはやむをえないとして、自国内の産業をいかに高度化していくか、そしてそうした産業を担うにふさわしい労働力をいかに育成していくかといったことの取り組みを強めようとしている。
一方、EMSを雇用創出のチャンスとして受け止めようとしている国々もある。
かつて、日本や欧米からの資本進出を受け入れてきたマレーシアやシンガポールが周辺諸国との関係で相対的にコスト高となった結果、これらの周辺諸国が低コストを武器に日本や欧米だけでなく、マレーシアやシンガポールといった国々からの企業移転に強い意欲を示しはじめている。
こうした国々にとっては、EMSの進出は雇用喪失ではなく雇用創出として受け止められるのではないかとの意見も、少数だが存在する。
こうした国々の政府や経済界は、この点に期待しているともいわれ、EMSに警戒感をいだく労働組合サイドとのあいだで摩擦が生じかねないとの懸念がある。
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